「ホテルのアメニティって、持ち帰っていいのかな…?」
チェックアウトの際にこう悩まれた経験、一度はおありではないでしょうか。使い捨ての歯ブラシは?シャワーキャップは?スリッパは?タオルは?
じつは「何でも持ち帰っていい」は大きな誤解でございます。反対に「全部置いていかないといけない」というわけでもございません。今回は現役ホテルスタッフの目線から、持ち帰りOKなもの・NGなもの・迷いやすいグレーゾーン、そして持ち帰ってはいけないものを持ち帰った場合にどうなるか、正直にお伝えいたします。
【大前提】アメニティは「宿泊中に使うもの」でございます
まず最初に、アメニティについての大前提をお伝えいたします。
ホテルのアメニティは、「宿泊中に必要な分をお使いいただくためのもの」でございます。「無料だから好き放題持ち帰っていい」というものではございません。
実際に、アメニティコーナーに置かれているスティックコーヒーやお茶を1泊のご宿泊で10個・20個と鞄に詰め込まれるお客様もいらっしゃいますが、これは明らかにマナー違反でございます。「コーヒーが好きだから飲む」と主張されても、常識の範囲を超えた行動とみなされます。
こういった行為が繰り返されると、ホテル側がそのアメニティの提供自体をやめるケースもございます。そうなれば次に泊まる方が不便を被ることになります。
無料サービスは、皆様が節度を持ってご利用いただけることを前提として成り立っているのでございます。
「常識の範囲内でのご利用」。これが全ての基本でございます。

【持ち帰りOK】使い捨て・個人使用のアメニティ
以下のものは、使い捨てまたは個人使用を前提としているため、持ち帰っていただいて構いません。
・使用した歯ブラシ
・使用したシェイバー(ひげそり)
・使い捨ての紙スリッパ
・使用したシャワーキャップ
「使おうと思ったけど結局使わなかった」という場合も、持ち帰っていただくか、そのままお部屋に置いてチェックアウトしていただいてどちらでも構いません。
また、お部屋にあらかじめ人数分ご用意しているお茶のパックやスティックコーヒーも、お持ち帰りいただいて構いません。
ただし、どのアメニティも、アメニティコーナーからわざわざ大量に持ってきて「飲まなかったから持ち帰る」「使わなかったから持って返って良いんでしょ?」というのは、最初から大量に取ること自体がマナー違反でございますのでご注意くださいませ。

【持ち帰りNG】ホテルの資産・備え付けのもの
次の品目は、ホテルが清掃・クリーニングをして繰り返し使用する「ホテルの資産(財産)」でございます。持ち帰ることは絶対にできません。
・タオル類(バスタオル・フェイスタオル・ハンドタオルなど)
・バスローブ・部屋着
・ゴム・ビニール・革製のスリッパ(使い捨て紙スリッパはOK)
・ハンガー
・食器類・コップ・ポット
・ドライヤー・ヘアアイロン
・充電器
・灰皿
・枕・枕カバー
・貸し出し用の傘
温泉旅館などで薄手の温泉タオルを「お持ち帰りください」としているところもかつてはございましたが、近年はかなり減っております。エコロジーへの取り組みや物価上昇の影響もあり、過剰サービスは全体的に見直されている時代でございます。
昭和の時代に「持ち帰りOK」とされていたものが、今では窃盗や迷惑行為にあたる場合もございますのでどうぞご注意くださいませ。

【グレーゾーン】迷ったときはフロントへ
「これはどっちだろう?」と迷うケースも時々ございます。
基本的な考え方としては、「常識の範囲内の数であれば、個人使用の使い捨てアメニティは持ち帰ってOK」でございます。ただし、1名・1泊のご宿泊で歯ブラシを10本取ってきて「使わなかったから持ち帰る」は、数が常識の範囲を超えておりますのでNGでございます。
傘については、貸し出し用の傘を返却せずに持ち帰ったり、「もらえないか」と声をかけてくるお客様もいらっしゃいますが、貸し出しの傘はあくまでも貸し出しでございます。ご宿泊中のお出かけの際、急な雨で傘が必要になったお客様にお使いいただけるようにご用意しているものでございます。チェックアウト後に傘が必要な場合は、販売用の傘を購入いただくのがマナーでございます。(ただ、頻繁にそのホテルをご利用されていて、次回ご宿泊時にご持参くださる場合はホテルスタッフが一旦お貸し出しといった形でチェックアウト時にお貸しする場合もございますが、この辺りはホテルとお客様との信頼関係にもよってくるかと思います。)
どうしても判断が難しい場合は、フロントにお気軽にお尋ねいただくのが一番でございます。「これは持ち帰っていいですか?」とひとこと聞いていただければ、スタッフが丁寧にご案内いたします。

【現役スタッフが正直に教えます】NGのものを持ち帰ったらどうなる?
ここが一番気になる方も多いかと思いますので、正直にお伝えいたします。
■ 悪質・繰り返しの場合は証拠を記録されます
過去にNGアイテムの持ち帰りがあったお客様が再び宿泊される場合、チェックイン前に客室をくまなく写真撮影し、証拠を記録するホテルもございます。直接警察に引き渡すケースは多くはありませんが、【出入り禁止】の対応が取られることはございます。損害が大きい場合は、系列店全てで宿泊できなくなる可能性もゼロではございません。
■ ドライヤー・ヘアアイロンの窃盗は「貸出中」扱いで対応されます
フロント貸出のドライヤーやヘアアイロンを繰り返し持ち帰るお客様に対しては、次回以降「すべて貸出中です」として貸し出しが受けられなくなる対応を取るホテルが多くございます。また、顧客システムに「要注意」として記録されることもあり、最近はシステムを系列全店で共有しているホテルも増えておりますので、どこの系列店に泊まっても同様の目で見られる可能性がございます。つまりは全部バレているのでございます。
何の対応もなく、永遠に度を超えた持ち帰り行為が続けられるホテルというのは存在しないと思っておいて頂いて良いかと思います。もともと長い間管理が緩かったホテルでも、代表が交代したり親会社が変わったりなどで運営方法が180度変わることもございます。急にルールが変わったり、出来たことが出来なくなった、受けられていたサービスがなくなった、などは時代の変化の一つでございます。
「ずっとそのまま」という状態こそがまさに不自然な状態なのでございます。

■ ルームキーの持ち帰りも要注意
アメニティではございませんが、ルームキーを持ち帰ってしまった場合は、ホテルから返却のご連絡(お電話)が入ることが多いのでございます。
使い捨てタイプのカードキーであれば問題が少ないのですが、繰り返し使用する作りのしっかりしたカードキーやシリンダーキーは必ず返却が必要でございます。紛失の場合は紛失料の請求となりますが、シリンダーキーは1万円以上かかるケースもございますので、チェックアウトの際は必ずご返却をお願いいたします。

【まとめ】持ち帰りの判断は「使い捨てかどうか」が基本です
ホテルのアメニティ持ち帰りについて、まとめると以下のようになります。
・持ち帰りOK → 使い捨て・個人使用のもの(歯ブラシ・シェイバー・紙スリッパ・シャワーキャップなど)
・持ち帰りNG → ホテルの備え付け・クリーニングして再利用するもの(タオル・バスローブ・ドライヤー・食器など)
・大前提 → 常識の範囲内で。大量に持ち帰る行為はNG
・迷ったら → フロントに聞くのが一番
「無料だから元を取りたい」というお気持ちはわかるのですが、お一人お一人の節度あるご利用が、ホテルの快適なサービスと皆様が安心して快適にお過ごしいただける状況を守ることにもつながります。
ホテルスタッフ一同、皆さまの快適な滞在のために日々対応しておりますので、「自分だけ特別」ではなく、皆さまが長く快適にお過ごしいただけるように、常識・品性のある行動に基づいてご宿泊いただけますと、スタッフとしても嬉しいのでございます。
皆さまの旅が素敵なものになりますよう、心よりお祈り申し上げております。
どうぞお気をつけていってらっしゃいませ。
またのお越しをお待ちしております!
