ホテルの客室というのは一種のプライベート空間でございます。
公共の場でありながらどこか「自分の家」のような感覚になってしまいやってはいけないことをやってしまわれる方がいらっしゃいます。
残念なことでございますが、公共の場でご自宅のような振る舞いをしますと、高額な費用請求をされる場合がございます。
今回は実際にある事例を挙げて、費用請求される恐れの大きいNG行動をまとめました。ご参考になれば幸いです。

【実費請求の恐怖】毛染め剤が染みつくと取れない。
ホテルでは規約などで【毛染め禁止】を明記しているホテルは多くございますが、なぜかホテルに宿泊してまでバスルームで毛染めをする方がいらっしゃいます。ご自宅を汚したくない、出先で暇だから、など理由は色々お有りかと思いますが、正直申しますとホテルの客室で毛染めをされると圧倒的にリスクが高くなります。お金の面でのリスクでございます。
毛染めというのはそもそも色素がつくと大変取れづらいことが使用上の注意にも書かれているので、汚さないための下準備が面倒なものでございます。特にプラスチック製のバスルーム壁面やバスタブに付着すると高確率で色素は完全に取れません。もちろんシーツやシャワーカーテンについた場合も漂白したくらいでは完全に取れませんのでリネンの回収業者に出しても汚れが明らかに取れないものは破棄するしかなくなります。
床のカーペットに付着したら当然擦っても取れません。濃いしみになって残ってしまい、「取り除けない汚れをつけた」という事実が残ってしまいます。
シャツのボタン大くらいのシミがバスルームに一箇所だけ着いていた‥くらいでしたらなんとか漂白剤などをつけて擦って薄くして(完全には取れません)部屋を販売できる状態にして目を瞑ることもできますが(もちろん顧客情報欄には「毛染め使用して壁を汚した」などと書かれます)、汚れの状態や範囲が目に余る場合、特殊清掃業者を入れたバスルームの清掃、壁紙の張り替え、家具や寝具の取り替えが必要になった場合は実費請求でございます。そして、部屋が使える状態になるまでその部屋は販売停止になるわけですから、その間の損害請求も乗ってくるとなりますと、数十万円は下らない金額の請求が起きてしまうのでございます。もうこうなりますと、美容室でカラーしてもらう方が何十倍も安く綺麗に安全に毛染めが行えるわけですから、わざわざ公共の場に行ってまで自分で毛染めを行うことは意味をなさないどころか行為自体がリスク以外の何者でもないのでございます。

【禁煙ルームで喫煙】要注意人物➕客室売り止め費用の請求➕宿泊拒否
昨今は全館禁煙のホテルが圧倒的に多くなってきております。喫煙スペースを館内に設けず灰皿そのものを屋外のみに設置しているホテルも少なありません。こういったご時世でもマナーを守って喫煙タイムを楽しまれていらっしゃる皆様が多い中で、禁煙ルームに宿泊されて喫煙される方が少なからずいらっしゃいます。そして、このタイプの方は繰り返し喫煙されることが大変多い「常習犯」なのでございます。
勿論ですが禁煙室で喫煙された場合は一発で顧客情報欄に「禁煙ルームで喫煙。アウト後要確認」と書かれます。喫煙者の中にはご理解いただけない方もいらっしゃいますが、喫煙の匂いの残り方はご本人が思っているよりも相当ひどいものであります。臭いのであります。チェックアウトしたその日は、換気して清掃したところでベッドやカーテン、カーペットなどに匂いが染み付いているため基本部屋が販売できなくなります。もうこの時点で1日分の客室売り止め費用が発生しているのであります。
禁煙と書かれている場所(喫煙可能場所以外のすべての場所)でタバコを吸うということはルールを破っているということですので、それ相当の費用請求されても文句は言えないのでございます。

【泥酔状態で嘔吐】 嘔吐で過度に部屋や廊下を汚した場合は特殊清掃費➕リネン費など請求。
チェックイン時にあまりにも泥酔されているお客様はご宿泊をお断りすることもございます。これはホテルによって約款などで定めているかどうかにもよるのですが、わたくしの勤めるホテルでは泥酔された方はお泊まりいただけないと明記されております。
以前一度ご宿泊をお断りしたことがございましたが、そのお客様はお話が全くできず、サイン(書くこと)ができない上、何人かに脇を抱えられてお一人で歩行することすらできない状態であったため、嘔吐や排泄をもようされてもご自身で動けないことが明確であることや、万一急性アルコール中毒などになられた場合ホテルのお部屋ですとご様子がわからないため、最悪命を落とされる危険もありご宿泊をお断りいたしました。
正直申しましてそういった状態の方をホテルに投げ込んであとはどうとでもなれと帰宅されようとしていた同僚の方々もどうかと思いますが、お酒は節度をもって楽しみたいものでございますね。
さて、チェックイン時に過度な泥酔状態であればこのようにお断りすることもできなくはないのですが、チェックイン後に過度な飲酒をされて酩酊状態になってしまった場合こうは参りません。
飲酒してベッドや床に嘔吐してしまった場合、簡単な清掃やシーツの取り替えで対応できる場合はこの限りではありませんが、広範囲に及んだり、清掃が困難で業者対応が必要な特殊清掃になる場合、リネン費や特殊清掃費がかかります。
こういった場合定額ではなく実費請求になる場合も多いので、お気をつけくださいませ。
嘔吐の場合はご本人が気づいていないだけで何かの病気に感染している可能性もありますから、感染症リスクなども発生します。
勤務先のホテルで、泥酔した年配のご夫婦がフロアの廊下中に嘔吐を撒き散らした上、夜中に大騒ぎしてたといったことがございました。
当日の夜勤勤務のスタッフは、感染症対策用の汚物処理キッドの手袋やエプロンを使用して夜中に廊下などを清掃対応しなくてはならなかったとのことです。当然仮眠の休憩も行けなかったとのこと。わたくしの勤務先のホテルでは夜勤勤務は仮眠休憩を伴う長時間勤務のため、休憩なしでの対応は本当に大変だったと思います。
ホテルスタッフも人間でございます。AIではございません。嫌なものは嫌ですし危険なものは危険なのでございます。宿泊業界や看護業界、介護業界など世に必要であるにもかかわらず仕事がきつく不規則にもかかわらず、低賃金で離職率の高い仕事はまだまだ存在しております。
賃上げ求ム!!でございます。

【超迷惑】 お風呂のドアを開けたまま入浴。火災報知が爆音で作動。
ホテルでの注意書きでよく見かけるのがこの「入浴の際はバスルームのドアを必ず閉めてください」。でございます。
理由はタイトルにも書いておりますが、火災報知器が作動するからでございます。
これは本当に「迷惑行為」でございます。火災報知器は火災を知らせるものでございますので、全館に爆音で鳴り響きます。
また火災報知器が鳴れば当然パニックになってフロントに降りてきて説明を求めたり、煩かった・睡眠妨害されたなどで返金しろといってくる方もなかにはいらっしゃいます(当然返金は致しかねます。残念ながらそういう日にご宿泊されたのは運の問題が半分以上ございますので)。
ホテルで火災報知器が鳴る多くの原因がこの「乾燥するのが嫌だからバスルームのドア開けて風呂に入った」なのでございいます。
これは本当に迷惑以外の何者でもございません。「するな」と書いてあることをしているのだから取っている行為そのものがおかしいのでございます。
ホテルにだけでなく、宿泊されている全お客様にとって大変迷惑なことであり、ものすごく嫌がられる行為でございます。
危険時に鳴る警報の音というのは、人を不安にさせます。
自分さえ良ければいいという考え方で、見ず知らずの多くの人たちの穏やかな夜を台無しにする権利はどなたにもないのでございます。

【客室の備品持ち帰り】窃盗罪です
昔々は旅館でタオルを持って帰ってもよかった時代がございます。旅館の名前が書いてある薄っぺらいタオルございますが、そういえばわたくしの生家でも見た記憶がございます。
さて時代は令和でございます。わたくしも温泉旅行などが好きですので温泉宿に宿泊いたしますが、タオルであってもリサイクルして使用が基本になっているため持ち帰れない場合が多い印象でございます。
ましてはホテルのタオルは旅館とは違い繰り返し使用することが目的で作られた丈夫な生地のものでございますし、歯ブラシやシェイバーなどの使い捨ての無料アメニティ以外は持ち帰れないのが原則でございます。
ホテルに設置されている「ドライヤー」やフロントなどで貸し出し品として用意されている「ヘアアイロン」など、こういったものは当然持ち帰ることはできません。ホテルの備品であり、資産の一部でございます。ご自由にお持ち帰りくださいなどどこにも書かれてはおりません。
「さすがに嘘でしょ?」と思われるかもしれませんが、ヘアアイロンを勝手に持ち帰るお客様(女性)が結構多いのであります。
正直申しまして、Amazonなどで3000円台で購入できる安価なもので、しかもたくさんの人が宿泊中に使用したものを家に持ち帰って使って気分が良いものなのでしょうか?
また客室のドライヤーを持ち帰るお客様はほとんどの方が海外の方のようでした。今ではそう言った窃盗まがいの持ち帰りもだいぶ落ち着きましたが、コロナ前のインバウンドの宿泊が増え始めた頃がこういった事例が大変多かったのでございます。ドライヤーを無料配布しているホテルなど存在しないと少し考えればわかるようなものなのですが、これは国民性というよりも個人のモラルが大きく関連しているように感じております。

さて今回はホテルでやっては行けないNG行動を5つお送りいたしました。
やはりダメなものはダメなのでございます。
ホテルは寝起きや入浴など生活の基本的な部分を提供しておりますが、
たくさんの方が集う【公共の場】でございます。
禁止事項を守らなければ賠償請求されることもございますし、あまりの迷惑行為の場合は通報もされます。
節度をわきまえて穏やかにご宿泊をお楽しみいただけますと幸いです。
それでは皆さま、お気をつけて行ってらっしゃいませ。
またのお越しをお待ちしております!
